夕暮れに [八ヶ岳の風]
八ヶ岳は、すそ野が広く緩やかな傾斜が続きます。
カラマツの群生地を切り裂く様に、幾条かの道路が作られています。
林間からこだました嬌声が消えるのを待つようにカラマツは
色づきはじめ、いつか知らぬ間に裾野全体を黄金色にかえてしまいます。
木枯らしの前の静けさの様にしっとりとした静寂に包まれた真っ直ぐの道は、
まだ新しい落ち葉が敷き詰められ、うつむきかけた白秋でもでてきそうです。
カラマツの芽吹きが春を知らせ、夏には輝く緑を満々とたたえ、
カラマツの紅葉で秋の終わりの近いのを知り、一冬かけて落葉します。
カラマツは、燃料としてもヤニが多く不向きとされ、建材としても逆木が立ってあまり使われず、
別荘等建物の樋や戸袋などの至る所に入り込み迷惑をかける厄介者ですが、
山人には太古より季節の伝道師であり続け、
この森を逍遙する人々には地味で無愛想、無口の態で癒してくれます。
落葉松の林の中の道が登りはじめて閉じる辺りの上に澄んだ空と、
少し雪をかぶった八ヶ岳の頂が見られます。
冬の訪れは近そうです。
こちら向け 我も寂しい 秋の暮
NPO法人 satoyama http://www.npo-satoyama.net/
2012-11-09 08:00
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